菅原伝授手習鑑【三~五段目】

歌舞伎の勉強

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歌舞伎はやっぱり予習の上で見たいゾ( ̄ー ̄)エヘン!

菅原伝授手習鑑【三段目】

(車曳の場)

菅丞相は流罪となり、斎世親王は法皇のもとに預けられることとなった。
主を失ってしまった梅王丸と桜丸。
ある時、往来で出会った二人は、親王や姫のこと、流罪となってしまった菅丞相のことなどを語り合う。
菅丞相を陥れた時平とその時平に仕える松王丸は、断じて許せん!・・・と息巻く梅王丸。

そこへ・・・吉田神社への参詣で、左大臣時平の牛車が通りかかる。金棒を引き「ハイホウ、片寄れ、片寄れ!」と、まずは雑式が行く。

梅王と桜丸・・・ここを黙っておとなしく通すわけにはいかぬ。牛車に近づき車を止める。

行く手に杉王丸登場。
(名前が紛らわしいが、三兄弟と血縁関係はない。)

杉王:時平公の御車と知って止めたか知らずにか、返答次第で容赦はねえぞ!

梅王:ムムハハハ、言うな言うな。気も違わねばこの車、見違へもせぬ時平の大臣。

桜丸:斉世の君様菅丞相、讒言によって御沈落、その無念骨髄に徹し、出合うところが百年目・・・。

梅王:この梅王、牛に手馴れし牛追ひ竹、位自慢に喰い太った時平公殿の尻こぶら、二つ三つ五六百喰らわさにゃア、堪忍ならねえ。

そこへ松王丸登場。
(悪役ながら堂々と風格ある登場。)
時平の牛飼いは松王丸だ。松王が二人を阻む。

松王:待てエ、待ちやがれエ。ヤア命知らずの暴れ者、いづれもにはお構いあるな。兄弟と一つでねえという、松王が忠義の働きお目にかけん。コリャ、エエ。松王がひっかけたこの車、止められるものならば、ならば手柄にサ、サ、ササササ(笑)、止めて見ろ。

互いに牛車をやるやらぬと曳き合ううち・・・。
(三つ子の息の合った動きが、あんまり争っている風には見えないけれど)

(義太夫節) 顕れ出でたる時平の大臣~♪

時平登場。
(牛車をぶっ壊して、大迫力の登場!)

時平:ヤア牛扶持喰う青蝿めら、轅に止まって邪魔ひろがば、轍にかけてひき殺せ、エエ!

梅王:さ言う大臣を轢き殺さん。

時平:ヤア時平に向かって緩怠なり。

グヮッ!と睨んだ時平のその眼力に動けなくなる二人。

松王:なんと、我が君の御威勢見たか。この上にも手向かいなさば、この松王が一討ちぞ。

時平:ヤレ待て松王、太政大臣となって天下の政事を取り行う時平が眼前、血をあやすは社参の穢れ。助けにくき奴なれど、松王が忠義に免じ助けくれる。命冥加な蛆虫めら。

松王:わいらよい兄弟を持って仕合わせ者。命一つ拾ったを、ありがたいと三拝ひろげ。

桜丸:ヤア、おのれにも言い分あれど、親人の七十の賀、祝儀すむまで、のう梅王。

梅王:そうだそうだ。その上ではナ、松の枝々へし折って、敵の根を断ち、葉を枯らさわ。

松王:そりゃこの松王とても同じこと、親人の賀を祝うた後では、梅も桜も落花みじん。足元の明けえうち、早く帰れ。

梅王:ヤア、帰るを汝に。

(梅王、桜丸声をそろえて)
二人:習おうか。

松王:何を!

時平:早く車を轟かせよ、エヽ。

松王:ハッ。

三人の主人公(梅王丸,松王丸,桜丸)がそろい、それぞれの個性の対比がよく表れた名場面。時平の恐ろしく、圧倒的な存在感も・・・ゾクッときます(>_<)

賀の祝[茶筅酒の場~桜丸切腹の場]

三段目の切。歌舞伎では「茶筅酒の段」から「桜丸切腹の段」をまとめて、『賀の祝』の通称で上演することが多い。三つ子の父である四郎九郎は、この古稀の祝いで白太夫を名乗る。

(茶筅酒の場)

白太夫の隠居所には菅丞相のお気に入りの樹がある。梅、松と桜。(三つ子の名はココからとってます)

今日は白太夫の七十の賀の祝いに、三つ子とその妻達が集まることになっている。

まず、桜丸の女房八重がやって来る。そして梅王丸の女房お春と、松王丸の女房千代も到着し、祝いの料理を一緒に作る。
(春の梅。千代の松。八重の桜。妻の名はそれぞれの木に因んでるのね。)

和やかな、祝いの準備。

でも白太夫は、三人の息子たちが吉田社で喧嘩沙汰を起こしたこと(車曳の段)を、実は聞いている。そのことを嫁たちに問うが、春も千代も八重も困惑するばかりだ。

さて、祝いの膳も整ったけれど、三人の息子たちはまだ姿を見せない。
ならば氏神様にお参りをしておこうと、白太夫は出かけていった。

(喧嘩の場)

やがて松王丸が到着する。
少し遅れて梅王丸もやってきた。

菅丞相に大恩あるこの一家の中で、松王丸だけが敵である時平に仕えている。
そんな事情から、兄弟の間はぎくしゃくしがちだ。この日も松王丸と、梅王丸は女房たちが止めるのも聞かず取っ組みあいの喧嘩を始める。

そればかりか・・・。

その喧嘩の勢い余って、庭の菅丞相遺愛の桜の木を折ってしまった。
(三つ子の名づけのもととなったあの・・・)

白太夫が帰宅する。
梅王と松王は桜の木を折ったことを叱られると思ったが、白太夫は何も言わない。
折れた桜の木は、確実に見た筈なのに。

ところで、今回の祝いの席。梅王と松王はそれぞれ父の白太夫に、お願いを持ってきている。
梅王丸は、九州に下って菅丞相にお仕えしたいという。しかし白太夫は、まずは行方の知れぬ御台様や菅秀才様たちをお尋ねしろ、丞相様の所には自分が行くといって許さない。

そして、松王の願いは、親白太夫からの勘当を受けることだった。親兄弟と縁を切り、時平に忠義を尽くすという。

白太夫は怒り「その願い聞き届けてやるから出て行け!」と。
更に「梅王も出て行け!」と、八重を残してみな追い出す白太夫。

・・・・・。

一家一同そろっての祝いの席のはずが、結局姿を見せていない桜丸。

思えば・・・少し不自然だった白太夫の動き・・・。

古稀のお祝い、春のうららかさ、仲の良い嫁たち、体力ありあまってる息子たち・・・と春爛漫の生命の躍動感と輝き。そんな中、ボキッと折れてしまう桜。
あぁ、のどかだなぁ・・・と単純には思えぬ不吉な陰と緊張感が漂います。 

(桜丸切腹の場)

白太夫も奥に下がり、ひとり残された八重・・・落ち着かない。

そこに桜丸が刀を片手に納戸より現われる。
八重は驚き、なぜ今まで出てこなかったのかと問う。だが、その答えを待たず白太夫が登場。

そして、腹を切る刀を三宝に載せ、桜丸の前に据えた。
桜丸は切腹するのだ。
(実は、早くに来て白太夫にその意志を伝えていた。)

この様子に八重はまたびっくりし、なぜ死なねばならぬのかとその訳を涙ながらに尋ねる。

桜丸は語る。
自分たち兄弟に目をかけてくれた菅丞相は、自分が斎世親王と苅屋姫との恋を取り持ったばかりに謀叛の汚名を着せられた挙句、流罪になってしまった。この責任をとらねばならない。

梅王松王が桜の木を折ったのを、白太夫が咎めなかったのも、桜丸はもはや自害するより道はないという先触れであると見たからだった。

白太夫:なんとか桜丸の命を助けようと、裏の山の祠に御神託を聞きに行ったが、どうしても桜丸が死ぬしかないようなお告げしか出なかった。もう仕方がない。

息子に先立たれる白太夫の悲哀。

やがて桜丸は腹に刀を突っ込み、自害して果てる。

夫のあとを追おうとする八重。
桜丸が使った刀で自害しようとするが、帰ったはずの梅王丸とお春が出てきて八重をとめる。
ふたりは桜丸がいつまでも来ないことや、丞相愛樹の桜を折ったのを白太夫が咎めなかったことを不審に思ったらしい。近くに潜んで様子を伺っていた。

梅王夫婦も桜丸の死を嘆く。

白太夫は梅王たちに後を任せ、桜丸を失った悲しみをこらえつつ菅丞相のもとへ旅立った。

菅原伝授手習鑑【四段目】

(筑紫配所の場)

白太夫は筑紫に下り菅丞相のそば近くに仕え、丞相は配所で心静かに配流の日々を送っていた。
今日も白太夫が引く牛の背に乗りながら、安楽寺へと参詣に向う。寺に着くと住職が丞相を出迎え、ちょうど梅の花見時でもあったところから、梅の花を見ながらのもてなしを丞相は受けるのだった。

ところが、そこに喧嘩だという声がして、刀を抜いて斬り合う者たちが乱入する。
その一方をよく見ればなんと梅王丸。梅王丸は相手をねじ伏せ捕らえる。

梅王丸は丞相に挨拶し、菅秀才と御台の身柄は武部源蔵と八重、お春が保護していることを知らせる。
更に、今捕らえたのは時平の家来で、昨日船で一緒になったが、平馬はこの筑紫まで丞相を殺す時平の命を帯びてやってきたのだと。
丞相は梅王の働きを誉めたが、今の三つ子たちの境涯を嘆いた。

「梅は飛び 桜は枯るる 世の中に なにとて松の つれなかるらん」と詠む。

その後、菅丞相は平馬から時平が帝や法皇を押し込めて天下を覆そうとしていることを聞く。

刹那、怒りの形相で、手にした梅の枝で平馬を打つ丞相。すると、あっけなく平馬の首は落ちた。
更に「魂魄雲居に鳴るいかづち・・・首領となりて眷属を引きつれ、都に上り謀叛の奴ばら引き裂き捨てん」と、白太夫たちが驚き取り付くのも撥ね退け、突風の吹きすさぶ中でついに天神と化し、天へと昇るのだった・・・。

(北嵯峨の場)

・・・というのは、すべて菅丞相の御台が見た夢。

ここは北嵯峨の御台が八重やお春と共に潜伏する隠れ家。
目を覚ました御台は八重たちに今見た夢の話をする。

そういえば最前から胡散臭い山伏が、深編笠をかぶり法螺貝を吹きながら家の様子を伺っていた。今はもういなくなったが、時平にここをかぎつけられては一大事だ。ちょうど近くに法性坊の阿闍梨が来ているというから、阿闍梨に御台様のことを頼もうとお春は出かけてゆく。

そこへ時平の家来星坂源五が手勢を率いて踏み込み、御台を捕らえようとする。
八重は薙刀を持って応戦しこれらを追い払うが、傷を負い・・・息絶えてしまう。

八重の亡骸にすがって嘆く御台。

戻った源五が御台を捕らえようとするが・・・その時、この家を伺っていた山伏が現われ、源五をつかんで投げ飛ばし、御台を抱え、飛ぶがごとくに走り去った。

(寺入りの場)

京の外れ。
芹生の里にある源蔵の寺子屋では今日も百姓の子どもが集まり手習いをしている。

源蔵は村の集まりがあって留守にしていた。

丞相の子息である菅秀才様も、そんな中で机を並べている。
一見して他の子らとは違う品格が漂う。いい歳をして「へのへのもへじ」など書いて喜んでいるよだれくりを嗜めたりしている。

そこへ、同じ村に暮らすという女が、子を連れやってくる。
戸浪が出て応対する。

この寺子屋に寺入りさせたいとわが子を連れてきたらしい。
子供は名を小太郎という。

戸浪は小太郎を預かることにし、母親は後を頼み隣村まで行くといって下男とともに出ていった。

(寺子屋の場)

源蔵が帰ってきた。
だがその顔色は冴えない。

どうにも浮かない顔の源蔵だが、戸浪が小太郎を紹介すると、途端に機嫌を直す。どうやら、小太郎のその育ちのよさそうな顔を気に入ったらしい。

戸浪が源蔵になにかあったのかと尋ねる。

すると、時平の魔の手がついにこの寺子屋まで伸びてきたのだという。
村の集まりと言って出掛けたが、行った先に居たのは時平の家来春藤玄蕃と松王丸だった。

菅秀才を匿っているのはもうわかっているから、すぐにその首を討って差し出せ。この村はすでに大勢の手の者が囲んでいるから、絶対に逃がさない・・・と。

う~む。そう言われても・・・困った。

まず、源蔵は教えている寺子屋の子どもの誰かを身代わりにできないか・・・と考えた。
(身代わりに他の子を殺すなんて完全にイカレてるけれど、それは現代の感覚。当時の社会では忠義より優先されるものなんてないのだ。人の子だから平気で殺す身勝手なヤツ・・・という訳ではないのネ。)

だがしかし、田舎の寺子屋にいる子どもたちでは・・・ダメだ。どこを見ても山育ちの垢抜けない首ばかり。
そこに・・・突然の「小太郎」だった。見るから育ちの良い、上品な少年。

そうこうするうちに、春藤玄蕃と松王丸がやって来る。

村の衆が慌てて迎えに来て、一人一人チェックを受けて子どもたちは帰って行く。
(チェックするも、新入りの小太郎くんのことはわからない。)

ん?・・・春藤玄藩が何かに気付く。
「机の数が合わない。」
でもそれを、なぜか誤魔化そうとする松王丸。で、そこはまぁ、おさまって。

そして・・・。

源蔵は首桶を渡される。
・・・・・。
奥で小太郎の首を討ち、それを首桶に入れて松王丸の前に差し出す。

張り詰めた空気の中、菅秀才の顔を知っている松王丸が首実検を。
ためつすがめつ、首を見る松王丸の表情は複雑だ(T_T)

「ムウコリャ菅秀才の首討ったわ。紛いなし相違なし」

松王丸は玄蕃にそう告げる。
満足して首を収め、時平公の元へと向かう玄藩。
松王丸は病を理由に、玄蕃とは別れて帰ってゆく。

バレたら松王と玄藩を斬って、秀才さまを連れて逃げる決死の覚悟だった源蔵は、ほっとひと安心。
でもなぁ・・・今日寺入りしたばかりの子を、いかに菅秀才の身替りとはいえ命を奪わなければならぬとは・・・戸浪はもとより源蔵もせまじきものは宮仕えと涙に暮れるのだった。

ひとまず安堵したのも束の間。

小太郎の母親が迎えにやってきた。
致し方ないと源蔵は隙を見て母親に斬りかかる。
が、母親は小太郎の道具箱で源蔵の刀を受け止めた。そして、割れた道具箱から出てきたのは、死者の着る経帷子や南無阿弥陀仏と記した葬礼用の幡。
母親は涙ながらに「菅秀才のお身代り、お役に立ってくださったか」!!!

驚く源蔵。

そのとき表の門から「梅は飛び 桜は枯るる世の中に なにとて松の つれなかるらん」という声。
続いて・・・。
「女房悦べ、せがれはお役に立ったぞ」と現れたのは松王丸。

この様子に唖然とする源蔵と戸浪。

松王丸は事情を語る。

小太郎とはじつは松王丸の子。その母親とは松王丸の女房千代だった。松王丸は本心では菅丞相に心を寄せていた。牛飼いとして仕えてはいるが、菅丞相に敵対する時平とは縁を切りたいと思っていたのだ。そして菅秀才の身替りとするため、あらかじめ小太郎をこの寺子屋に遣わしていたのだと。

戸浪は千代の心中を察して涙する。松王丸はなおも嘆く千代を叱るが、小太郎がにっこり笑っていさぎよく首を差し出したと源蔵から聞くと、「でかしおりました、利口なやつ立派なやつ、健気な・・・」と言いつつ、「思い出すは桜丸・・・せがれが事を思うにつけ思い出さるる」と涙し、千代も「その伯父御に小太郎が、逢いますわいの」と泣き沈む。忠義のためわが子を犠牲にした松王夫婦の姿に、菅秀才も涙する。

やがて松王丸が駕籠を招き寄せると、駕籠から菅丞相の御台所が現われ菅秀才と再会する。
以前北嵯峨で御台を助け連れ去った山伏とは、松王丸であった。松王夫婦は上着を脱ぐと葬礼の白装束となり、御台が乗ってきた駕籠に首のない小太郎のなきがらを乗せ、野辺の送りをする。

悲しみの中、皆は小太郎の霊を弔う。
御台所と菅秀才は河内の覚寿のもとへ、松王夫婦は埋葬地の鳥辺野へとそれぞれ別れてゆく。

菅原伝授手習鑑【五段目】

(大内天変の場)

その後の夏、内裏の上空で雷が毎日鳴り響く。
法性坊の阿闍梨が朝廷に呼ばれ、帝を守るため加持祈祷を行った。

判官代輝国が斎世親王、苅屋姫、菅秀才を連れて参内する。

菅秀才は時平に捕まってしまうが、内裏に雷が落ち、時平の一味である左中弁希世と三善清貫は雷に撃たれて焼け死に、そのすきに菅秀才は逃げ出した。

さらに護摩壇から桜丸と八重の亡霊が現われ、時平を責め苛んだ。
そして遂に、時平のその命を絶つと、菅丞相の霊も鎮まったのか空は晴れる。

松王丸、白太夫、梅王丸も参内し一同みな集まり、宣旨が下る。

菅秀才が菅原家を再興すること。
菅丞相には正一位を贈り、社を建てて南無大自在天満天神とあがめ、皇居の守護神とすること。

人々は悦び合うのだった。

コメント

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