鰯賣戀曳網

歌舞伎の勉強

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歌舞伎はやっぱり予習の上で見たいゾ( ̄ー ̄)エヘン!

鰯賣戀曳網
(いわしうりこいのひきあみ)

主な登場人物
■猿源氏
・イワシ売り。
■海老名なあみだぶつ
・猿源氏の義父。商いを猿源氏に譲って隠居。
■傾城蛍火
・遊女。都随一の美女。

あらすじ
鰯売の猿源氏は、都一の傾城蛍火に恋をして、仕事に身が入らない。父である海老名なあみだぶつは、猿源氏を叱りつけるも、このままにはしておけぬと、息子の恋の仲立に動く。
父の企てで、猿源氏は大名に化け蛍火を呼ぶ。
そのお座敷で魚尽くしの(インチキ)源平軍物語をする猿源氏。意外にもそれがウケて、皆大喜び。
恋焦がれた蛍火と一夜を共にした猿源氏は、寝言で「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯かうえい」と、鰯の売り声を上げてしまって・・・。

三島由紀夫の新作歌舞伎
伊勢の鰯売り猿源氏は京の都で魚を売り歩く。

商いを猿源氏に譲り、気ままに暮らす義父の海老名なあみだぶつは、ある日、すっかり腑抜けた猿源氏と行き会い一喝する。聞けば、都一と評判の遊女蛍火に恋をしたという。彼女のことを考えると何も手につかなくなり、鰯売りの掛け声も、ふにゃふにゃ~と力が入らない。
このままにはしておけぬ。手を貸すことに決める父。

蛍火は高級遊女で、普通では鰯売りが会うことなど不可能だ。そこで大名を装うという作戦に出る。さて、東国大名「宇都宮」氏になりすまして蛍火に会った猿源氏。だが、高級遊女とのお座敷には高い教養が求められる。東国大名を騙る猿源氏は、皆から「軍物語」をねだられる。
軍物語(いくさものがたり)は、戦を体験した武将の体験談。

当然、猿源氏に語れる筈もない。

語れる筈がないのだけれど・・・。
そこは魚売り。ただ一つの得意は「魚」だ。魚尽くしで源平の合戦をでっち上げる。完全なインチキ軍物語なのだけれど、それが案外面白く、みんなは大喜び。

そうして・・・。

上手いこと蛍火と夜を過ごす猿源氏。
そんな中・・・寝言で・・・。

「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯こえ~い」

いつもの魚の売り文句。
魚売りが「鰯恐え~」?と思うんだけど「怖え~」じゃなくて「来い」の意味みたい。
大名らしからぬ寝言に、猿源氏を揺り起こし尋ねる蛍火。必死にごまかす猿源氏。

上手く騙しおおせて、ほっとできる筈なのに・・・。

なぜか蛍火は、がっかりして泣きだしてしまう。
殿さまだと、なぜがっかりする?
実を言えば・・・、蛍火は紀伊の国のお姫さま。

そんな姫が十年前のある日、お城の外の鰯売りの声に恋をした。城を抜け出しあとを追うというとっても行動派の姫。だがしかし、道に迷い、人買いにかどわかされて今この廓にいると言う。

鰯売りこそ我が夫・・・と。
日々観音さまに祈っていたのだと言う。

「えっ、エェ~!?」

おぉ、なんと!
驚く猿源治。だけれど、これは願ってもない展開だ。
それを聞いて素性を明かす猿源氏。蛍火も夢のようだと大喜びだ。

しかし次なる難題が・・・。
身請けには、二百両もの大金が必要だ。

そこに、蛍火の探索を命じられていたという家来の男があらわれる。男は行方知れずになった姫を探し出し、城へお連れするために来た。

蛍火:もちろん身請け金の用意はあるのだろうねぇ。
家来:はっ。二百五十両ほど用意してございます。
蛍火:では、二百両を亭主に渡しなさい。
家来:(亭主に二百両を渡す。)
蛍火:残りの五十両は、六郎左衛門に。
家来:えっ?・・・そ、それは・・・。
蛍火:・・・主の命に背くかっ!(ビシッと)

納得のいかぬまま、不承不承博労六郎左衛門に五十両を渡す男。なんだかよくわからぬが、これで姫を城にお連れできるなら・・・。

と・こ・ろ・が・・・。

蛍火:わたしは今から、鰯売り猿源氏の妻となります。
家来:えぇ~(*_*;

「伊勢の国に阿漕ヶ浦の猿源氏が鰯こえ~い」

めでたしめでたし・・・なのか?  (了)

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