神霊矢口渡 ~頓兵衛住家の場~

歌舞伎の勉強

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歌舞伎はやっぱりストーリーや背景を予習した上で見なくては( ̄ー ̄)

神霊矢口渡 ~頓兵衛住家の場~

主な登場人物
■新田義峯
・新田義貞の次男(足利尊氏は敵)。
■傾城うてな
・義峯の恋人
■渡し守頓兵衛
・足利尊氏側に通じる悪者。
■お舟
・頓兵衛の娘(義峯に一目惚れ)。
■下男六蔵
・頓兵衛の部下

あらすじ
一応「頓兵衛住家の場」以前のストーリーを軽く。

南朝の猛将「新田義貞」の長男「義興」は、北朝の足利尊氏との戦の途中、策略にはまり矢口の渡を舟で渡ろうとしたとき、渡し守の頓兵衛に底に栓のついた船に乗せられ、溺死させられる。因みにこの頓兵衛は、金のためなら平気で汚いことでも何でもする。そういうヤツ。

次男の「義峯」は、恋人「うてな」と共に、義興の旗持ちであった、生麦村の堂守である道念に匿われ、義興の形見の旗を受け取る。そこに追手が迫ってきたので、二人は頓兵衛の家に船を求めに行く。

兄「義興」の仇とは、露程も知らず・・・。

さて、「頓兵衛住家の場」。

矢口の渡しの渡し守頓兵衛の家。

義峯が恋人うてなとともに訪れる。夜は舟を出せないだろうから、一晩泊めて貰えないだろうか。

主の頓兵衛は留守で、断ろうと出てきたお舟。
ここで、気品ある義峯に一目惚れ♡
めでたく(?)泊めて貰えることに。

ここで、積極的なお舟ちゃんは、ガンガン攻める。
(連れの女性は妹だと言う義峯・・・って、どうよ?)

お舟ちゃんの猛アタックに、一度は拒否するも、結局受け入れ抱き合う義峯(どうなのよ?)

抱き合った刹那・・・突然意識を失って倒れる二人。

うてなはこれを見て、義峯が持つ義興の形見の旗の祟りだと気付き、旗を揚げて拝むと息を吹き返す二人。

この様子をこっそり見ていた頓兵衛の下男六蔵。

お尋ね者の義峯だと気付いた六蔵は、直ぐにも奧の部屋に踏み込もうといきり立つが、「義峯を好きなお舟」が「お舟に気がある六蔵」をなだめて時間を稼ぐ。

義峯は、渡し守にしてはどうにもこの家は豪華すぎる。何か怪しい・・・と思っていて。
お舟になびいたフリをして色々聞きだし、新田の敵の家だと知り、夜が明けたら早々に出ていくことを決める。

頓兵衛・・・帰宅。
六蔵から話を聞いた頓兵衛は、再び金目当てに殺してしまおうと、暗闇の中を忍び床下から義峯を狙う。
一思いに・・・串刺しだ!
えぃっ!
むむっ、手応えあり!・・・の頓兵衛。

しかし、刀の先にいるのは苦しむ娘のお舟。

お舟は自ら身替わりとなり、彼らを逃がしたのだった。

ここでお舟が極悪非道の頓兵衛親父に訴えかける。
あなたのしているのは罪なことなの。あなたがちゃんとしてれば義峯と結婚できたのに。来世では一緒になりましょうと言われたから、私のためにも心をいれかえて。

しかし、娘の命がけの願いも全く意に介さぬ頓兵衛。
ホントにこいつの極悪度は、凄い!

今にも死んでしまいそうな娘に、逃がしたことを怒り、そして蹴り捨てる。極悪非道もここまで徹底されると、何だか清々しく思えてくる!

義峯を見つけた時の合図は足利方と決めている(↓)。
・見つけたらのろしを上げる。大勢が出動する。
・捕えたら軒の太鼓を叩く。捕り方は皆解散。

というわけでのろしを上げる頓兵衛。
そしてそのまま義峯を追って行く。

お舟は二人を逃がすため、瀕死の状態なのに太鼓をたたこうとする。(太鼓を叩けば、追手は解散になるから。)

それを外で見張っていた六蔵が止めようとするが、六蔵の刀を抜いて刺し殺し、最後の力を振り絞って刀の鞘で太鼓を叩くお舟。

一方、頓兵衛は・・・。
義峯達を追って頓兵衛が舟で川を渡ろうとするその時、天から白い矢が飛んできて、頓兵衛の胸に突き刺さる。

この矢は、南朝の後醍醐天皇が義興に与えた矢で、その川が義興の死んだ場所だったこともあり、新田義興の霊が出てきて、頓兵衛を打った・・・と。

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